アスベストはいつから使われ、いつ禁止された?年代別の目安と確認方法
アスベストは1950年代から建材に広く使われ、1975年の吹付け禁止を皮切りに段階的に規制され、2006年9月に原則禁止、2012年3月に全面禁止となりました。 つまり2006年9月より前に着工した建物には、含有建材が残っている可能性があります。
実家を解体することになった、中古住宅を買ってリフォームしたい、自宅の屋根や外壁が古くなってきた。そんなときに「うちの建物はアスベストを使っている年代なのか」が気になって調べ始めた方は多いはずです。ところが、調べてみると1975年、1995年、2004年、2006年と、いくつもの年が出てきて、どれを基準にすればよいのか分かりにくいのが実情です。
結論からいえば、見るべき年は2006年9月です。そこに至るまでの規制の流れ、建材ごとに異なる使用時期、築年数だけで判断すると外れやすい理由、解体やリフォームの前に必要な調査の決まりを順に押さえておけば、自分の建物がどの位置にあるのかがはっきりします。
アスベストはいつから使われていたのか

戦後の建設ラッシュとともに普及した
アスベスト(石綿)は、天然に産出する繊維状の鉱物です。熱や摩擦に強く、燃えにくく、しかも安価だったため、「奇跡の鉱物」と呼ばれて重宝されてきました。
日本で建材として本格的に使われ始めたのは、戦後の復興から高度経済成長期にかけてです。ビルや工場の鉄骨を火災から守る耐火被覆、機械室の吸音材、住宅の屋根材や外壁材など、用途は建物のあらゆる場所に広がりました。
使用量のピークは1970年代
輸入量は1960年代から増え続け、1974年には約35万トンと過去最高に達しました。その後もしばらくは年間30万トン前後で推移しています。この時期は全国でビルや団地、戸建住宅が次々に建てられた時代と重なります。
1970年代から1980年代に建てられた建物にアスベスト含有建材が多いとされるのは、このためです。その後、健康への影響が問題視されるにつれて使用量は減っていきましたが、ゼロになったのは2000年代に入ってからのことでした。
健康被害が社会問題になった経緯
アスベストの繊維を吸い込むと、数十年の潜伏期間を経て中皮腫や肺がんを発症することがあります。中皮腫は、肺を包む胸膜などにできる悪性の腫瘍です。
発症までに30年から40年ほどかかるとされるため、使用のピークから時間がたった2000年代になって被害が表面化しました。2005年には、石綿製品を扱っていた工場の周辺住民に健康被害が出ていたことが報じられ、社会的な関心が一気に高まりました。これが翌2006年の規制強化と救済制度の創設につながっています。
アスベストはいつから禁止されたのか
規制は約40年かけて段階的に進んだ
アスベストは、ある年に一斉に禁止されたわけではありません。危険性の高い使い方や種類から順に規制され、最終的に全面禁止に至りました。主な節目は次のとおりです。
| 年 | 主な規制内容 |
|---|---|
| 1975年 | 石綿を5%を超えて含む吹付け作業を原則禁止 |
| 1995年 | 毒性の強い青石綿(クロシドライト)・茶石綿(アモサイト)の製造・使用等を禁止 |
| 2004年10月 | 石綿を1%を超えて含む建材・摩擦材・接着剤など主要な製品の製造・使用等を禁止 |
| 2006年9月 | 石綿を0.1%を超えて含む製品の製造・輸入・使用等を原則禁止 |
| 2012年3月 | 猶予されていた一部の工業用製品も含め、全面禁止 |
「1975年」と「2006年」の違い
よく混同されるのが1975年と2006年です。1975年に禁止されたのは吹付けという施工方法で、石綿を含む建材そのものは、その後も30年近く製造と使用が続きました。
屋根のスレートや外壁のボード、床のタイルなどに含まれた石綿は、2004年の規制まで普通に流通していました。「1975年以降の建物だから安心」とは言えないのは、このためです。
建物の判断基準になるのは2006年9月
建物にアスベストが使われているかどうかを考えるとき、実務上の目安になるのは2006年9月1日です。この日以降に着工した建物であれば、法律上は石綿含有建材が使われていないことになります。
反対に、それより前に着工した建物は、戸建住宅であってもどこかに含有建材が残っている可能性があります。築20年前後の家でも対象になり得るという点は、意外に知られていません。
建材ごとに異なるアスベストの使用時期
主な建材と製造されていた時期
アスベストが含まれていた建材は種類が多く、製造が終わった時期もばらばらです。国の資料などで示されている目安をまとめると、次のようになります。
| 建材 | 主な使用場所 | 製造時期の目安 |
|---|---|---|
| 吹付けアスベスト | 鉄骨の耐火被覆、機械室・駐車場の天井 | 1956年頃〜1975年頃 |
| 石綿含有吹付けロックウール | 鉄骨の耐火被覆、天井 | 1960年代〜1980年代後半 |
| 石綿含有保温材 | 配管やボイラーまわり | 〜1980年頃 |
| 石綿含有スレート波板 | 工場・倉庫の屋根や外壁 | 〜2004年頃 |
| 住宅屋根用化粧スレート | 戸建住宅の屋根 | 〜2004年頃 |
| 石綿含有けい酸カルシウム板 | 天井、壁、軒天 | 〜2004年頃 |
危険度は建材の種類で変わる
アスベスト含有建材は、飛散のしやすさによってレベル1からレベル3に分けられています。レベル1は吹付け材のように繊維が飛び散りやすいもの、レベル3はスレートやボードのように固められていて、割ったり削ったりしない限り飛散しにくいものです。
ビルや工場で問題になりやすいのはレベル1・2の吹付け材や保温材です。戸建住宅では、屋根や外壁、軒天などに使われたレベル3の成形板が中心になります。
戸建住宅で注意したい場所
木造の戸建住宅でアスベストが見つかりやすいのは、屋根の化粧スレート、窯業系の外壁材、軒天のボード、台所まわりの天井や壁の不燃ボード、床のビニル系タイルなどです。
いずれも普段の生活で触れる程度なら飛散の心配はほとんどありません。問題になるのは、解体やリフォームで割ったり切ったりするときです。
築年数でアスベストの有無を判断するときの注意点

着工日と完成日は違う
築年数を確認するとき、多くの方は完成した年や登記の年を見ます。しかし判断の基準になるのは着工した日です。2006年秋に完成した家でも、着工が夏以前であれば規制前の建材が使われている可能性があります。
建築確認の書類や工事請負契約書があれば、着工の時期を確認できます。
製造時期と施工時期はずれることがある
建材の製造が終わった後も、問屋や工務店に残っていた在庫が使われることがありました。製造時期の表はあくまで目安で、「2004年までに製造中止だから2005年の家には入っていない」とは言い切れません。
増改築を繰り返した建物では、部位ごとに施工時期が違うことも珍しくありません。母屋は新しくても、昔の離れや物置にスレート屋根が残っているといったケースもあります。
最終的には調査と分析で確かめる
設計図書や建材のメーカー名・品番が分かれば、国土交通省の石綿含有建材データベースなどで照合できます。それでも判断がつかない場合は、建材の一部を採取して分析機関で調べることになります。
見た目だけで含有の有無を見分けることはできません。築年数はあくまで「可能性があるかどうか」の入口と考えてください。
解体・リフォーム前に必要なアスベスト調査はいつから義務になったか
事前調査は原則すべての工事が対象
建物の解体や改修を行う業者には、工事の前にアスベストの有無を調べる事前調査が義務づけられています。2006年9月以降に着工した建物でも、そのことを書類で確認する必要があり、調査を省略してよいわけではありません。
調査の対象は工事の規模や金額を問いません。木材や金属、ガラスだけでできたものを手作業で外すような、石綿を含まないことが明らかな作業を除いて、原則として調査が必要です。
2022年4月から結果の報告も義務に
建物の解体に関わるルールは、2020年に大気汚染防止法と石綿障害予防規則が改正されたことで大きく変わりました。2021年4月からは、それまで規制の外にあったスレートやボードなどのレベル3建材も、除去作業の基準の対象に加わっています。
2022年4月からは、一定規模以上の工事について、調査結果を自治体と労働基準監督署へ報告することが義務になりました。対象は、解体部分の床面積が80平方メートル以上の解体工事と、請負金額が100万円以上の改修工事などです。
アスベストが見つからなかった場合でも「なし」として報告が必要です。一般的な広さの戸建住宅を丸ごと解体するなら、ほとんどが報告の対象になります。
2023年10月から有資格者による調査に
2023年10月1日以降に着手する建築物の工事では、事前調査を所定の講習を修了した調査者が行うことが義務になりました。戸建住宅には、戸建て向けの調査者資格も設けられています。
発注する側としては、見積もりの段階で「事前調査は誰が行うのか」「報告はしてもらえるのか」を確認しておくと安心です。調査や除去の費用が見積もりに含まれているかどうかも、業者によって扱いが異なります。
アスベストの時期に関するよくある疑問
住んでいるだけで健康に影響はある?
成形板などに固められたアスベストは、壊したり削ったりしなければ繊維がほとんど飛び出しません。築年数が古い家に住んでいるというだけで、すぐに健康被害が出るわけではありません。
ただし、天井や梁に吹付け材がむき出しになっていて、表面が劣化して毛羽立っているような場合は別です。その場合は早めに専門家に相談してください。
昔アスベストを吸っていたかもしれない場合は?
建設業や工場での作業歴がある方、あるいは近くに石綿を扱う工場があった方は、発症まで時間がかかることを踏まえて、定期的な健康診断の際に医師に経歴を伝えておくとよいでしょう。石綿による健康被害には、労災保険や石綿健康被害救済制度による補償・救済の仕組みもあります。
解体の前に自分で準備しておけることは?
業者に相談する前に、建築確認済証や設計図書、新築時の契約書が手元にあるか探しておくと話が早く進みます。着工時期や使われた建材の品番が分かれば、調査の範囲を絞りやすくなるからです。
書類が見つからない場合でも、建てた年のおおよその見当や、途中で増築や屋根の葺き替えをしたかどうかを思い出しておくだけで役に立ちます。なお、怪しいと感じた建材を自分で割ったり剥がしたりして確かめるのは避けてください。
まとめ
アスベストは戦後から建材として広く使われ、1975年の吹付け禁止、2004年の主要建材の禁止を経て、2006年9月に原則禁止、2012年3月に全面禁止となりました。建物について考えるなら、2006年9月1日より前に着工したかどうかが最初の目安です。
ただし、築年数だけで「ある」「ない」は決められません。着工日の確認、建材の品番の照合、それでも分からなければ分析という順で確かめていくことになります。解体やリフォームを予定しているなら、工事の前に業者が事前調査を行う決まりなので、見積もりの段階で調査の進め方まで話を聞いておくと、後から費用や工期で慌てずに済みます。
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株式会社三和は、神奈川県と東京都を中心に、戸建住宅やマンション、ビルの解体工事を手がけています。建物まるごとの解体のほか、内装だけを撤去するスケルトン解体や、物置・ブロック塀などの小さな解体、解体後の外構工事や造成工事にも対応しています。
築年数の古い建物ほど、アスベストの事前調査を含めて工事の段取りが重要になります。建物の状況を伺ったうえで、解体の進め方と費用の概算をご案内しますので、まずはお気軽にご相談ください。お見積りは無料です。
